デザイン思考力に早期から着目、攻めの人材獲得へ

–デザイン思考テストに関心を持たれた背景について、教えてください。

弊社は2006年にツムラ内の家庭用品事業部門が分社化される形で株式会社バスクリンとして独立、2016年卒からエージェントやナビサイトの活用を中心に新卒採用を開始しました。

2020年卒からは積極的に優秀な学生にコンタクトを図り、新卒採用を本格的に内製化したいと試行錯誤していました。

社内の動きとしても、古き良き価値観や知見を残しつつも、今後の変化の激しい時代に向けてイノベーションを起こす能力を育成したいと、30代半ばから40代の社員に向けて、2019年よりデザイン思考を学ぶ研修を開始しました。

そのような社内の機運がある中で、以前からお付き合いのあったVISITS社が「デザイン思考テスト」をリリースしたことを知ったタイミングが相まって、デザイン思考力に大きく舵を切る形で導入を決定しました。

インターンと本選考で活用。価値創造人材の獲得に向け、新たな選考フローを構築

–具体的に、どのような形で実施されましたか？

2020年の導入1年目はインターンとして研究所見学や社員との座談会と合わせ、デザイン思考テストの受検体験と結果を本人へ開示。フィードバックとキャリア形成支援をするイベントとして秋と冬に実施。スコアは学生の個性を知るためのデータとして、選考にも活用を始めました。

具体的には、元々の選考フローである1次選考の「グループディスカッション＋エントリーシート」に加えてデザイン思考テストを追加。その結果を元に2次選考の面接へと進める新たな採用フローを構築しました。

翌年の2021年はコロナ禍に突入したことで、グループディスカッションの開催が難しい状態になったため、まずは書類選考として「エントリーシート＋適性検査＋デザイン思考テスト」と、冒頭から導入する形へと大きく変更しました。

イノベーション企業としてのイメージづくりに成功

–実施した結果はいかがでしたか？

スコアは選考基準ではなく、あくまでプラスの要素として個人理解を深める一つの情報として活用しました。

特にコロナ禍では選考をオンラインに切り替えたため、相互理解を深めることが難しい側面がありましたが、面接を担当する社員からはスコアやランクが評価の裏付けや上乗せとして有用性を実感した、との声が上がりました。

ブランディングの観点では、選考の初期タイミングである書類選考で導入したため、面接では「先進的な取り組みをしているイメージを持った」と、学生の声も多数あり、大きな効果を感じています。

また、現在入社3年目になる研究職の社員を採用した際、その社員は学生時代に授業やゼミを通じてデザイン思考の重要性を感じる中で、弊社がデザイン思考テストを導入していることを知り「この会社なら自身の叶えたい未来を実現できるのではないか」と、入社の志望度向上に繋がったと語っていました。

人材獲得の難しい研究職の採用において、デザイン思考テストの導入は他社との差別化という意味でも大きな成果です。

–今後の活用検討について教えてください

今年で導入4年目となり、デザイン思考テストを受検して入社した社員が増えてきました。

今後はスコアやランクデータを異動や任せる業務の指標にするなど、社員一人ひとり強みを生かせるような人材配置に活用していきたいと思います。