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内閣府

創造力の見える化を通じて、創造性豊かな人材育成を目指す 「知財創造教育」を推進内閣府知的財産戦略推進事務局 参事官 小林英司様

全世界でAIに代表される技術革新が進む中、内閣府ではイノベーション創出に欠かせない人間独自の創造性の育成に力を入れています。国立高等専門学校の創造性教育の推進・実践のため、創造性育成授業の前後において「デザイン思考テスト」を用い前後の効果測定を行った結果、どういったことが見えてきたのか、内閣府知的財産戦略推進事務局参事官の小林英司様にお答えいただきました。

プロジェクト概要Outline
実施内容
高専7校441名を対象に、創造性育成授業の前後における「デザイン思考テスト」の実施。
実施期間
2019年12月〜2020年3月
実施背景Background

内閣府では豊かな創造性を備える人材育成に向け国として知財創造教育を推進。各地の教育機関等と連携し、創造性育成につながるカリキュラムの普及等を支援。一部の国立高等専門学校の創造性育成授業において、育成効果を測定することを目的に「デザイン思考テスト」を実施。

実施結果Action

・授業の前後で平均34.2%創造力スコアが上昇 ・対象者441名中366名(83%)の創造力スコアが上昇

ー内閣府における創造性教育の取組について教えてください。

AIを筆頭に技術革新が進む中、人間にしか出来ない発想力や複数の解を求める創造力が一層重要となっています。そのため、近年、創造性教育はより重要度を増しており、内閣府では、各地の教育機関や産業界と連携した地域コンソーシアムの構築等を通じて「知財創造教育」を推進しています。

ー今回、なぜ「デザイン思考テスト」の実施に至ったのでしょうか?

その連携の一つとして、国立高等専門学校で実施される創造性教育の推進も行っています。効果的な推進にあたり、教育効果の測定をきちんと行う必要がありました。創造力は決まった正解がないため、客観的に正しく評価をすることが難しかったのですが「創造力を客観的に数値化出来る」というデザイン思考テストに可能性を感じたため、試験的に導入することを決定しました。

ー具体的な実施概要を教えてください。

創造力を育成するための授業を導入している全国の国立高等専門学校のうち、7校の学生441名を対象に、授業の実施前後に各1回ずつ1時間程度のオンラインテストを受けて頂き、授業の前後でスコアにどのような変化があったかを検証しました。

ー実際にデザイン思考テストを実施してみた結果はいかがでしたか。

令和2年2月19日に開催された第7回検討委員会(※)で実施された報告では、授業実施前後で、全ての学校でスコアが上昇・創造力スコアの伸び率は平均34.2%・全体のうち86.3%の学生に創造力スコアの上昇が見受けられたという結果で、参加した委員からは、「これまで難しいとされていた創造性の見える化の手法として大変興味深い」「取組を進め情報を共有して欲しい」など、デザイン思考テストを評価するコメントが多くありました。一方で、スコアと授業との相関関係を明確にするためにも、より多くの結果が検証できるよう、小学生や中学生も受講できるような形を期待するなど、今後に向けたコメントもあげられました。今回の結果から、直ちに、知財創造教育の授業によって創造性が身につく(向上する)ことが示されたと言うことは難しいと思いますが、委員は、教育プログラムの効果の見える化に大きな期待を持ったのではないかと感じました。また、その期待に応えるためにも、我々知的財産戦略推進事務局は、しっかり取り組んでいきたいと思います。

ー創造性に関する教育プログラムの推進の観点ではいかがでしょうか。

今はデータ駆動型社会と言われています。「デザイン思考テスト」は、実践を重ねる中で、データ分析の正確性が向上し、また、フィードバックを通じて、「デザイン思考テスト」自体が、より良いものへと進化し続けると想像しています。知財創造教育は、創造性と(他人への)尊重を楽しみながら育むことを目的としています。このような視点を目的とした教育プログラムは多数存在し、我々がウェブサイトで紹介するものは200を超しています。今回「デザイン思考テスト」は、教育効果の可視化として有効とのお話をしましたが、加えて、教育プログラムそのものの改善の指標となり得るものではないでしょうか。常に成長し続ける評価ツールによって、教員の皆様が創意工夫で進められている教育プログラムも成長し続ける、そのような可能性を感じています。

ー今後デザイン思考テストにどういったことを期待しますか?

創造性育成授業の効果測定への利用の可能性を改めて感じています。教員の方の一番の目的は子ども達の成長であり、知財創造教育によって、子供達はどう変わるのか、また、変わるとしたらどのように変わるのか、その点を内閣府としてもしっかりお伝えしていきたい。「デザイン思考テスト」には、そのための一つのあり方を示していただきました。「デザイン思考テスト」には、創造性を評価できるツールとして非常に大きな期待を持っており、今後の展開をとても楽しみにしています。洗練された知財創造教育を受けた子供たちが、社会で新しい価値を次々と生み出していく、その実現を共に目指していければと思っております。

※知財創造教育の推進のため、産官学の様々な分野の委員から構成されている「知財創造教育推進コンソーシアム」において、具体的な取組を議論する委員会

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