株式会社トーハン
DXクラウドの導入により、イノベーション人材の見極めに高い有効性を実感 株式会社トーハン 総務人事部 人事・教育グループ 下之園 誓一様(左) 上園 華子様(右)
イノベーション人材の獲得において、デザイン思考スコアの定量的な指標で精度の高い見極めに成功。また、面接1回をデザイン思考テストに置き換えたところ、採用業務工数を大幅に削減。 出版市場の情報・流通のネットワークを担うトーハンでは、近年の出版物の多様化や店舗の形態変化、顧客ニーズの変容に伴い、チャレンジ精神や高い課題発見・解決力を持ったイノベーション人材の採用にトライ、本テストの導入を決断しました。運用から結果の分析まで一手に担われた総務人事部の下之園様へ、実施内容について詳しく伺いました。
プロジェクト概要Outline
- 実施内容
- 23卒の本選考において従来のSPI、面接に加え、書類選考通過者にデザイン思考テストを実施
- 実施期間
- 2022年1月から4月にかけて実施
実施背景Background
・イノベーション人材の採用精度向上 ・採用基準の可視化と、選考フローの効率化
実施結果Action
・23卒本選考にて書類選考通過者が受検 ・今後24卒の一般選考でも継続意向
次世代の出版業界を担うイノベーション人材の採用へチャレンジ ーデザイン思考テストと面接の併用が功を奏し、精度の高い評価を実現
–導入の背景を教えてください。
弊社トーハンは、日本の出版市場において出版社と書店を含む小売店、そして読者の方々を結ぶ情報・流通のネットワークを担っており、出版業界の架け橋となる存在です。
物流などの基本的な卸の機能を発揮しながら、昨今は出版物の多様化や店舗の形態変化に伴い、商品を流通するだけでなく、仕入や販売に関する企画や分析、設計提案の側面がより求められるようになりました。
そのため新卒採用においても、一般的なビジネススキルだけではなく、新しいことにチャレンジする姿勢や、高度な課題発見・解決力の見極めが必要です。これまではエントリーシートの中で学生時代の経験などから推し量り、ポテンシャルで採用していましたが、定量的な判断材料が少ないと感じていました。
新たな判断軸を通して、出版という業界に縛られないデザイン思考力や、新規事業を推進することのできるイノベーション人材を獲得する必要があると感じていました。
–当時の採用業務において感じていた課題はありますか?
これまではエントリーシートの評価や面接対応など、人事担当者による選考が中心でした。数千人規模に及ぶ応募者の選考作業は多大な労力がかかっていたため、採用業務のスリム化も課題でした。
また、学生側も新型コロナの影響を大きく受けて、インターンやサークル・アルバイトなど大学生活における自由な活動が制限されています。様々な活動に思うように取り組めない中、選考する側も判断材料が減り潜在的な能力を見極めて適切な判断をすることは、想像以上に難しいと感じていました。
–実施形式を教えてください。
元々の選考全体の流れは、提出されたエントリーシートを独自の評価基準で選考し、複数回の面接を経て内定者を決めるという一般的なものです。採用の目標人数を数千人の候補者から絞り込む必要があるため、1次面接から数百人の候補者と面接を行っています。
採用担当以外の社内メンバーに協力を求めて大規模に実施していた選考フローの中で、1回の面接を「DXクラウド(デザイン思考テスト)」に置き換えたところ、定量的な判断軸が加わったことで、評価の質を担保しながら選考を進めることができ、社内全体で大幅な工数削減に成功しました。
–特にこだわった点はありますか?
卸の会社という特色上、交渉の現場で通用するようなコミュニケーションスキルが求められます。従来通り面接での判定に加えて、試験対策がされやすいSPIと、対策の難しいデザイン思考テストを織り交ぜながら総合的な判断を行いました。
–実施結果はいかがでしょうか?
面接前に、応募者に対してデザイン思考テストを実施してみて驚いた点は、弊社を志望する学生のスコア傾向として、創造力スコアの高い学生が多かった点です。まだ検証中ではありますが、これまでの採用基準と一定の相関が認められたため、今後においても大きな発見でした。
–今後の活用についてお考えになっていることはありますか?
社内では実施結果について具体的な分析も求められていることから、様々な選考ツールとの相関性や新たな活用方法を探し、トライしていきたいと考えています。来年度の新卒採用での活用はもちろんのこと、社内の教育・育成観点での導入も検討中です。
デザイン思考力については、新規事業に携わる社員にも共通して求められている部分があるため、社内での利用など広い目線で活用方法を模索していきたいです。